実験 リターンポジションとサーブポジションによる移動距離の変化

リターンポジションはそれぞれのプレースタイルによっても違うが、その違いにより大きく変わってくることが2つあります。
サーブに対して動く距離とサーブに対する反応時間です。
今回はレシーブポジションの前後の位置の違いによって、動く距離にどのような変化があるか実験してみました。
この結果を参考にして、自分のレシーブポジションとサーブポジションを工夫してみると、よりテニスが戦術的に楽しめるかもしれませんね^_^

実験内容

  1. サーブを打つポジションによって、ワイドサーブで相手をコートの外に追い出せる距離がどれ位変わるのか?
  2. リターンポジションの前後によって、ワイドサーブに対して、コートの外に追い出される距離がどれ位変わるのか?
  3. ワイドサーブをストレートリターンした場合、次のクロスショット(最も距離の長い安全なクロス)でどれ位動かされるのか?

写真1. まずサーブを打つ位置をセンターマークから
1m(サーブポジションA)
2m(サーブポジションB)
3m(サーブポジションC)
の3箇所とする

写真1:赤1m、白2m、黄色3m

写真2. リターンポジションを
ベースラインより1m前方
(リターンポジションA)
ベースラインより1m後方
(リターンポジションB)
ベースラインより3m後方
(リターンポジションC)
の3箇所とする

写真2:ベースライン1m後方を一般的なリターンポジションと考えて、黄色ラインを引き、その前後2mにピンクラインを引く

写真3. ワイドサーブの入る位置をサービスラインから1m内側とする

写真3:サーブラインより1m手前に置いた黄色マーカー

写真4. それぞれのサーブポジションとワイドサーブの位置を直線で結びその直線をそれぞれのリターンポジションまで引いてマークする。

写真4:直線上にマーカーを置くサムコーチ

写真5. それぞれのリターンポジション上のマークをシングルスサイドラインから測ると以下のようになります。

ベースライン1m前方の場合
1.58m(サーブポジションA)
1.91m(サーブポジションB)
2.22m(サーブポジションC)

ベースライン1m後方の場合
2.22(サーブポジションA)
2.64(サーブポジションB)
3.06(サーブポジションC)

ベースライン3m後方の場合
2.75(サーブポジションA)
3.32(サーブポジションB)
3.85(サーブポジションC)

写真5:シングルスサイドラインより何m外に離れているか計測する井本コーチ、サムコーチ

写真6. 写真7.写真8.リターンのレディーポジションから横に動いた時と、斜め前に動いた時の距離の違い

写真6:通常のリターンポジション
写真7:真横に動いた場合
写真8:斜め全方に動いた場合

写真9.サーブポジションAから引いた直線とリターンポジションBの交わるポイントに動いた時の距離の違いをリターンポジションBのサイドラインから測ると2.25mであった。

写真9:真横に動いた時の移動距離を測る井本コーチ、サムコーチ

サーブポジションAから引いた直線とリターンポジションAの交わるポイントに動いた時の距離の違いをリターンポジションBのサイドラインから測ると2.61mであった。

写真10:斜め前に動いた時の移動距離を測る井本コーチ、サムコーチ

写真11. ワイドサーブをストレートリターンした場合、サーバーのクロスショットでどれ位動かされるのか?

写真11:リターンがサイドラインから1m内側に入ったと仮定するためにマーカーを置く

写真12. 写真11のマーカーから最も距離が長くなる反対側のコートのコーナーまでを線で引っ張った場合ベースライン1m後方(リターンポジションB)ではどこを通過するかマーカーを置く

写真12:写真11のマーカーとコーナーを直線で結びその延長線上のリターンポジショBに黄色いマーカーを置く

写真13. 写真12の黄色のマーカーとサーブポジションAからリターンポジションBを通過するマーカーの距離を測ると、10.58mでした。

写真13:サーブポジションAから引いた直線がリターンポジションBを通過するマーカーから、写真11のマーカーまでの距離を測る井本コーチ、サムコーチ

考 察

この結果から、サーブポジションがセンターに近い場合(サーブポジションA)と、遠い場合(サーブポジションB)では最大で1.10m余分に外に動かされることが分かった。(リターンポジションCの場合が最大となる) また、同じサーブポジションの場合では、リターンポジションの前後によって最大で1.63m余分に外に動かされることが分かった。(サーブポジションCで、リターンポジションAとCの場合)

今回は、全て直線上という条件でのポジションによる違いを見てきたが、実際のサーブでは、スライスサーブが横に曲がることを考慮すると、今回の結果以上にレシーバーのポジションにより動かされる距離が長くなることが理解できる。

結果、サーブ側からみると、スライス回転を多くかけて横に曲げることの重要性と、レシーバーを後方で構えさせることの重要性が分かる。
レシーバーのポジションを下げるためには、スピードのあるサーブが必要となることから、サーブをより効果的に使うためには、スピードと角度(回転)の2つの要素が必要である。
結果、レシーバーからみると、飛びつきでは届かない移動距離を動かされるため、横へのフットワークが重要で、バランスを崩さずにワイドサーブを返球しなくてはならない。また、下がれば下がるほど動かされるかわりに、サーブへの反応時間を稼げることから、後方でのレシーブのテクニックを習得することで、ビッグサーバーのサーブを返球することができるようになるため、後方でのリターン練習に挑戦してみたい。

今よりもっと楽しく、みんラボ研究員駒田政史の簡単実験でした^_^

最新情報

人気の研究