実験 ドロップショットの有効性

今回は多くの方にドロップショットの有効性を知っていただきたいとの思いから下記のような実験を行ってみました。
レベルによって”ポジション”、”走る速さ”、”ネットプレー”など違いはあるものの、前後に動かすことのメリットはたくさんあるはずです。
是非この結果を見てドロップショットに興味を持ってください。

実験内容

  1. ドロップショットで相手をどれ位動かせるのか?
  2. ドロップショットを取るためにはどれくらいの速度で走る必要があるのか?

写真1. まずドロップショットを打つ場所をベースライン2メート内側と決めるため、2メート内側に赤いマーカーを置いてそれを目印に同じ場所からストレートに10球、クロスに10球ドロップショットを打ってもらいます。

写真1:ドロップを打つ近藤大生プロ

写真2. ドロップショットの2バウンド目が落ちた場所にマーカーを置いた写真です。1球もサービスラインを越えていないのはさすが近藤プロ!

写真2:ドロップショットの2バウンド目が落ちた地点

写真3. ベースラインセンターマークからの距離を測ってみました。
ストレートドロップショットの1番近いものから順番に計測した距離の結果が下記の通りです。
6.67m
7.38m
7.61m
7.47m
8.10m
8.38m
8.53m
8.63m
8.82m
8.85m
ドロップショットのインパクトから2バウンドするまでの時間が下記の通りです。
2.19秒
2.31秒
2.16秒
2.12秒
2.14秒
2.29秒
2.31秒
2.19秒
2.21秒
2.14秒

同様にクロスドロップショットの1番近いものから順番に計測した結果が下記の通りです。
7.47m
7.98m
8.60m
8.31m
8.47m
8.52m
9.02m
8.86m
9.05m
9.40m
ドロップショットのインパクトから2バウンドするまでの時間が下記の通りです。
2.37秒
2.35秒
2.15秒
2.13秒
2.23秒
2.17秒
2.21秒
2.26秒
2.06秒
2.18秒

写真3:2バウンド目を計測する井本研究員

写真4. まずドロップボレーを打つ場所をネットとサービスラインの中間と決めるため、その場所に赤いマーカーを置いてそれを目印に同じ場所からストレートに10球、クロスに10球ドロップボレーを打ってもらう。

写真4:得意のドロップボレーを打つ近藤大生プロ

写真5. 写真6. ベースラインセンターマークからの距離を測ってみました。
ストレートドロップボレーの1番近いものから順番に計測した距離の結果が下記の通りです。
9.22m
9.87m
10.45m
10.30m
10.44m
10.57m
10.94m
11.30m
11.78m
12.02m
9.40m
ストレートドロップボレーのインパクトから2バウンドするまでの時間が下記の通りです。
2.04秒
2.11秒
1.90秒
1.85秒
2.16秒
2.05秒
2.03秒
1.78秒
1.87秒
1.93秒

写真5. 写真6. ベースラインセンターマークからの距離を測ってみました。
クロスドロップボレーの1番近いものから順番に計測した距離の結果が下記の通りです。
8.30m
9.27m
10.14m
10.29m
10.40m
10.83m
11.27m
11.34m
11.51m
12.05m
クロスドロップボレーのインパクトから2バウンドするまでの時間が下記の通りです。
1.91秒
1.80秒
2.05秒
1.82秒
1.71秒
1.75秒
1.78秒
1.81秒
1.75秒
1.70秒

写真5:ドロップボレーの2バウンド目を計測する井本研究員
写真6:計測を手伝ってくれる近藤大生プロ

写真7.写真8.写真9.写真10.テニスラボフットワーク自慢の2人のプロ選手(河内一真、加藤未唯)に走ってもらいタイムをはかります。
タイムをはかるのは、ベースラインセンターマークから8メートル、10メートルのところに置いた2つのマークまでです。
ドロップショットを取ることを仮定してマークのところで止まることとします。
スタート場所は、ラリーをしている時に構える位置(ベースラインから2メートル後方)からとします。

写真7:河内一真プロのストロークレディポジション
写真8:スタートダッシュ
写真9:加藤未唯プロのストロークレディポジション
写真10:走る加藤未唯プロとタイムを計測する井本研究員

タイムは以下の通りとなりました。(スタートが2メートル後方のため、実際に走っている距離は10メートルと12メートルとなっております)

河内一真プロ
8メートル 2.00 1.91
10メートル 2.29 2.32

加藤未唯プロ
8メートル 2.13 2.16
10メートル 2.31 2.74

上記のタイムは、GOの合図で決まった場所に走ることが分かった状態でのタイムであるにもかかわらず、このタイムです。
実験で行った、ドロップショットが2バウンドするまでの時間を見て分かるように、もし、対戦相手がドロップショットを打った後に、前に走らないといけないことが分かっても間に合いません。インパクト手前でドロップショットだと気付く(予測ができないと)ことが必要だということが分かります。
立場を逆にして考えるならば、ドロップショットを打つ時は、いかにフォームを隠すことが重要だということが分かります。
また、2メートル遠いマークまでのタイム差が0.3秒程度あることを考えると、ドロップショットを打つ時は、ネットに近く、相手が後方にいることが重要なことが分かります。
これらの実験からドロップボレーは更に効果的であることが分かります。なぜなら、ストロークのドロップショットに比べて2バウンドするまでの時間が短いことに加えて、フォームで予測するのが難しいからです。(グリップチェンジが必要無い、テイクバックが同じフォームのため、インパクト手前で予測が難しい)
その他にも、目に見えない効果としては、ドロップショットを多用することで、相手の意識が左右だけでなく前にも分散されるため、(ポジションが前になる)フットワークがよく左右に振っても全て拾われてしまうような、粘り強いストローカーには効果的です。
また、相手の体力を奪う事ができたり、ボレーやスマッシュの苦手な選手をネットに誘い込むことができたりと、パワーのいらないショットの割りに大きな武器となりますので、是非チャレンジしてみて下さい!
みんラボ研究員駒田の簡単実験&1ポイントアドバイスでした^_^

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